concordia コンコルディア:調和

ラテン語の山下太郎先生(https://aeneis.jp/)がご紹介くださった名言、そしてご解説を載せさせていただきます。

Concordia res parvae crescunt. (コンコルディア レス パルヴァエ クレスクント)

調和によって小さい物も大きくなる。(サルスティウス『ユグルタ戦記』(10.10))

Concordiā は「調和」を意味する名詞。コンコルディアと聞くと、あのかっこいい超音速ジェット旅客機の名前を思い出しますが、このラテン語にちなんだ命名です。rēs は「物、事」を意味する名詞で、この文の主語になっており、形容詞parvae (小さい)に修飾されています。最後のcrescunt は「成長する」を意味する動詞です。全体をまとめると、「調和によって(Concordiā)小さい(parvae)物も(rēs)成長する(crescunt)」となります。

原文では、Discordiā maximae dīlābunturという言葉が後に続きます。「最も大きな物も(maximae)、不調和によって(discordiā)滅びてしまう(バラバラになってしまう。)」という意味です。前半と後半が対照的です。何事もチームワークが肝心ということでしょうか。毛利元就の三本の矢の教えを思い出します。ローマの歴史家サルスティウスの言葉です。

コンコルディア(調和)を使った別の格言に、Ex concordiā fēlīcitās.(エクス・コンコルディアー・フェーリーキタース)というのがあります。exは「~から」を意味する前置詞です。concordiā は「調和」、fēlīcitās は「幸福」を意味する名詞。あわせると、「調和から幸福が(生まれる)」と訳せます。

以上が山下先生の教えてくださった内容です。

日々の生活の中でも、「調和」が健やかな生活の基本になっていることに気づきます。たとえば料理。食材や調味料がうまい具合に合わさっておいしくなりますし、それを食べれば幸せになります。そして音楽のアンサンブルもしかり。そして何よりこの体です。細胞一つ一つが調和してこそ健康でいられるわけで、バランスを崩せば病気になってしまいます。心地よさはすべて、物事の「調和」から生まれるのですね。しかし、それにはやはりちゃんと調和をはかるための努力が必要だと痛感する次第です。

冒頭の名言は歴史家が残した言葉として2000年もの間、言い伝えられてきたわけです。国という視点からこの言葉を考える時、成長すればするほど「調和」が大事に、そして難しくなってくるように思います。今の時代こそ心に刻むべき真理だと改めて思います。

  • concordiā :「調和、和平」concordia (女性名詞)の 奪格(手段を表す)「調和によって」(大文字でConcordiaと書くと「調和の女神」)
  • rēs :「物、事」rēs(女性名詞・複数) 主格 「物事は」
  • parvae:「小さい」parva (形容詞女性形・複数)主格 rēsにかかる
  • crescunt:「成長する、大きくなる」:crescō, -ere 3人称複数

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